代表コラム president column

第23回 「水戸のまちなかの使命」

 9月に全体会議が開催された「水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会」。一つの委員会と四つの部会で構成されていることは既に紹介したが、以降、委員会や部会を20回以上開催し、まちなかのビジョンについての検討を重ねてきた。その中で、水戸のまちなかの未来の姿、と言うか、本来の姿が見えてきた。

 かつて水戸のまちなかは、広域水戸都市圏の中心として、遠方からの買い物客でにぎわっていた。遠方の人にとっても、また郊外に住む多くの水戸市民にとっても「まち」であって、非日常的なワクワク感があり、ハレの場であった。

 時代は変わり、今日、水戸のまちなかは、多くの人にとってのとしての役割は果たせなくなった。特別なワクワク感を提供できるエリアではなくなった。そのような場所が郊外にたくさんできたり、また、まちなかは車利用に不便、などが主な理由だ。

 そしてどうなったか。それまで、まちなかで買い物をしたり、新しい刺激を求めて顔を出していたりした人の多くが、その目的地を郊外へ変えてしまった。まちなかを見捨ててしまった。既成市街地を「私たちのまち」として大切にする欧州には見られない光景だ。その一方で、まちなかは、それまでのストックとしての医療・福祉や教育、消費・金融、情報・娯楽・文化、交通・生活基盤など、さまざまな都市機能が集積していることから、暮らしやすい。ドキドキ感はなくても、日々穏やかに暮らしていくにはもってこいの場所だ。結果、ドキドキ感は郊外へ移転し、まちなかは静かな、おとなしい場に変わった。

 どんなことにも言えることだが、変化を伴わないものは、衰退する。まちなかも、中心地としての日々革新があって、初めてまちなかとしての歴史と伝統を紡ぐことができる。

 水戸のまちなかには、まだまだステータスは残っている。多くの人は、茨城の中心だ、と思っている。そのイメージは大切だ。水戸のまちなかが衰退すると、茨城全体のイメージが衰退する。さらに、400年以上続いた広域水戸都市圏の中心である水戸の、そのまた中心のまちなかを、私たちの目の前で見る見る衰退するのを、水戸っぽとして看過できない。水戸のまちなかは、常に元気で、ワクワク感があり、常に何か新しいまちであることが、使

命である。

 

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