代表コラム president column

第27回 「ビジョン策定プロセスの特徴」

 バックキャスティングで、しかも若手が中心となって取りまとめた水戸のまちなかの未来ビジョン素案。その策定プロセスは、その他にも多くの点でこれからのまちづくりの在り方を提示している、と感じた。もっとも、それは、最初から意図したことではなく、「結果的にそうであった」ということ。

 まず、ビジョンの作り方としては、①官民が連携しての取り組みではあるが、民主導によってビジョンづくりが進められたこと。②民間の中でも、若手の自由な発想がビジョンの骨格を作り、全体を形づくったこと。③そんな若手の思いを実りあるものとするために、官民双方の年長者がサポートしたこと。

 ビジョンの中身としては、④ハード的な形あるものではなく、水戸のまちなかにかかわる人々のライフスタイルに焦点を当てたこと。⑤最初に決めた形を目指してそれをゴールとするのではなく、継続的な社会実験で常に新しい挑戦、新しい何かを追い求めることを目標としたこと。

 具体化に向けては、⑥若手が自分事として捉え、具体的行動に移すことを前提に考えてくれていること。⑦それを年長者や行政が一緒になって前向きに支援することとなったこと。

 さらに面白い特徴として、⑧web会議が主体であったため、会議にしろシンポジウムにしろ、水戸人のみならず、在京の志ある若手も気軽に議論に参加できたこと。⑨このビジョンそのものには明確な位置付けがないので、それこそ関係する多くの方々が共感し、同じ方向性を共有することこそが命であること。

 上記、9つの点は、いずれもビジョンの実現性・実効性を高める上で大切なポイントだ。年度が変わり、4月1日付けで国土交通省より、令和3年度の補助金の内定通知が届いた。官と民、そして地域が一体となって、この街の新しいページを開けるかどうか。勝負の一年になる。

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