代表コラム president column

第30回 「まちなかにかかわる人たちの期待」

 令和5年7月に新市民会館がオープンするが、それによる誘客でまちなかも一発大逆転、と期待する人も多い。しかし、現状でもまちなかには非常にたくさんの方々が住んでおり、働き、学んでいる。南町かいわいだけでもマンション居住者は1千5百世帯以上、大手企業への通勤者は2千5百人以上、そして、通学でまちなかを行き来する児童・生徒たちは6千人以上。全部合わせると1万人以上もの方々が日常的にまちなかを行き来している。

 それなのに、まちなかを歩いている人は少ない。人はたくさんいるが、通勤通学や居住以外の目的でもまちなかを歩きたくなる「場」が少ない、ということ。このような状態では、新市民会館がオープンしても、そのお客さんたちがまちなかを歩く可能性は低い。

 3月にまとめたビジョン(素案)のターゲットはまさに、まちなかにお住まいの方、通勤通学されている方。しかも現状ではまちなかを歩かない人たち。水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会として今年の秋に実施する試行・実証実験では、その方々の行動変化を促す仕掛けを試みたい。

 そこで、事前にまちなかにかかわる方々のライフスタイルに関する意識と行動についてお尋ねするアンケートを実施した。1万部配布し、千人以上の方から回答があった。幅広い年齢層から回答が集まり、会社員が67%で、学生も多い。まちなかが通勤通学地である人が83%、住んでいる人が36%、しかし通勤通学や居住先への直行以外のまちなか利用は、週1回以下が半数近くにもなる。

 回答者のニーズは次の通り。食事や散歩、緑の空間でのんびり過ごしたい。平日はお気に入りの飲食店で、また休日はちょっと贅沢なランチを。若年層は友人と過ごしたい、ふらっと立ち寄れるカフェやカラオケなど。高齢層は散歩やのんびり滞在。子どもと同居する人はマルシェでの買い物や広場でお弁当を。単身者はバーで友人と時間を楽しむ、カフェで新聞を、など。

 年代や性別問わず、まちなかを散歩する需要が高く、ウォーカブルなまちづくりへの期待が示された。

 この結果を踏まえて試行・実証実験を設営する。実施に際しては、あらためてまちなかの居住者や通勤通学者に案内をお送りし、実験にご参加いただき、その行動や感想を確認したい。

 

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