第33回 「実験を通して学んだこと」
試行・実証実験「水戸まちなかリビング作戦」が10月いっぱいで終了。収集したデータをもとにこれから分析・検証することとなるが、既にいくつかの学びがあった。
まず「場の使用許可」であるが、ストリートサインについては、かなり大胆な提案・デザインではあったが、水戸市の都市計画部が道路管理者や警察との協議・手続きなどを主体的に進めてくれたおかげで、思いのほか順調に進んだ。また、多くの方に共感いただいたのか、実験期間中のクレームはなかった。自由広場の使用については、水戸市商工課と協議。許可が難しい部分もあって、ぎりぎりまで調整が続き、最終的には「実験的に」ということで了解を得た。近隣の方からのクレームも一部あり、手続き面や周辺への周知などの面で課題を残した。
たまり場としての民間ビルの使用許可については、ビルオーナーと商店街の方々のご尽力で、円滑に進めることができた。一カ所、現地にお住まいではないオーナーとの連絡がなかなか取れず難儀したが、実験開始直前に快諾いただいた。不在地主との連絡方法など、今後の課題である。
使用許可をいただいた上での具体的な「場づくり」については、道路や歩道部分は、基本的にはプロにお任せした。民地部分については、その清掃も含め、デザイン会議の方々が頑張った。大変ではあったが、むしろ手を掛けた分、場に対する愛着が湧いた様である。技術的に難しいところはプロの手もお借りした。サインとして用いたカッティングシートはコンクリート面には馴染まず、貼り付けに苦労し、今後の教訓となった。
次に「場の活用」。用意した場を「日常の中でどのように活用するか。どんな日常が欲しいか」。デザイン会議のメンバーから15の自主的な活用策が提示され、それぞれに面白い企画で「まちなかチャレンジ」と命名。しかし、一部の活用策については、本人の都合で断念。ボランティアの方々の力は大きく貴重な戦力ではあるが、仕事ではないので突然のキャンセルも仕方がない。それでも、自分ゴトとして自主的に動いていただくことはとても大切で、このようなリスクは覚悟の上で、今後も志ある人の輪を広げたい。
場の使用にあたって、消防法に関連する規制など、さまざまな許認可の壁にも直面した。ビルオーナー側に対応いただけたが、法規制、各種制度、許認可など、事前に十分認識した上での取り組みが大切である。
場の活用に関する、もう一つの狙いとして、一般の方々からの飛び入り的な活用提案、つまりは「連鎖的な活用」も期待したが、そこまでには至らなかった。ここは、もう一工夫が必要である。
このようなプロセスそのものも、大切な実験だ。


