代表コラム president column

第34回 「今後の運営体制を考える」

 10月に実施した試行・実証実験「水戸まちなかリビング作戦」のデータ解析と検証については現在、鋭意進めているところであるが、その合間を縫って柏市の「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」を視察。協議会として今後の運営体制を具体的に考える時期になってきたためである。協議会構成員の水戸市役所と茨城大学、そして事務局の総勢8人が現地に集合し、当日は実働リーダーである三牧浩也副センター長より組織の概要をお話しいただき、また現地をご案内いただいた。

 これからのまちづくりを解くカギは「公民学」連携によるコラボレーションの総合化・複合化(マス・コラボレーション)にあり、それを推し進めるためには、仕組みと拠点づくりが必要である、との認識のもと、それを地域主体で実践し、街を創造する拠点が、アーバンデザインセンター(UDC)である。柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)は、我が国最初のUDCである。

 柏の葉は新市街地であるが、関連して柏駅前の既成市街地の再生を目指す「柏アーバンデザインセンター(UDC2)」についてもお話を伺った。商工会議所や商店街の名物会長などが中心となって、地域を巻き込みながら地道に活動を展開している。

 UDCは、対象地域のまちづくりに深く関わる公民学の多様な主体を構成団体とし、その構成団体による共同運営を基本としている。各団体の代表で運営委員会を組織し、施設や物品に係る経費、専任スタッフなどの人件費、基本的な活動経費は、各構成団体の持ち寄り(共同負担)により賄っている。

 柏の葉の場合、UDCK自体は任意団体で、公民学の関係団体をゆるやかにつないでいる。まちづくりに関わる多様な主体がUDCKという場に柔軟に関与し、連携するプラットフォーム型の組織運営となっている。正副センター長とディレクター(建築デザイン、エリアマネジメントなど)を中心に、まちづくりに係る主要メンバー間で密な情報共有を図り、またテーマ別の専門部会を設置・運営、戦略づくりや個別プロジェクトの企画・調整を行っている。

 プラットフォームとしての任意団体UDCKを母体としつつ、法人格を持つ団体として、調査研究・デザイン調整などを担う一般社団法人柏の葉アーバンデザインセンターと、公共空間の管理運営を担う一般社団法人UDCKタウンマネジメントの2つの法人組織を設立している。それぞれ公的位置づけが付与される都市再生推進法人の指定を受け、UDCK全体の活動と一体性を保ちながら、契約行為や必要な独自事業を担い、柏の葉のまちづくりを支えている。

 話を聞けば聞くほどに、このような運営体制が水戸にも欲しい、と思うのであるが、そのためにクリアしなければならないハードルがたくさんありそうだ。関係機関としっかり協議しつつ、少しずつ将来につながる体制づくりを進めたい。

 

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