第36回 「実験で得られたデータの検証②」
試行・実証実験での定性的なデータに関する検証結果に続き、定量的なデータの検証結果をお伝えする。まずはビデオカメラを用いたデータ収集。
裏通りの車と歩行者の様子を、実験開始前と実験中にかけ、24時間連続的にビデオカメラで撮影する。その動画をAIの画像解析にかけ、車の交通量と走行速度の変化、また歩行者の行動変化をとらえる。カメラの設置場所は、交通の様子が分かる場所になるが、同時に電源とWi-Fi環境が確保できることが条件で、場所探しと設置交渉に難儀した。
茨城大学の平田准教授による、最先端の技術を駆使したデータ検証の結果、通過交通の最高速度の抑制や、歩行者にとっての歩き易さが向上したなどの効果が定量的に把握できた。
歩行者については、さらにスマホのWi-Fi接続データから移動状況・回遊性を把握することとした。そのために、会場のあちらこちらにWi-Fi中継器を設置したり、お店などの既存のWi-Fiの使用許可を得たりした。スマホデータについては、個人情報との関係で制限があり、またその入手に費用がかかったりと、いくつもの課題があった。こちらのデータについてはまだ解析中。
路面にサインを施した裏通りの使い勝手については、地域の施設を利用される方やお住まいの方に、ドライバーとしての立場、また歩行者としての立場、それぞれアンケートを行った。その結果、裏通りを利用する30%以上の方々が、その効果を認めた。しかし一方で「サインの目的などを知っていればもっと効果的」「もっと周知されれば、効果はさらに高まる」などの指摘もあり、広報不足を実感。
今回の実験で設営したストリートサインやたまり場は、基本的には実験後も残る。実験期間を越えた、長い時間軸の中での使い勝手について、地域の方々から今後もご意見をいただきたい。

▲最高速度の変化

▲車と歩行者の軌跡