代表コラム president column

第42回 「モデルとしての宮下銀座」

 この秋、宮下銀座に常設の寄席「水戸みやぎん寄席」がオープンする。運営は、水戸商工会議所の大久保会頭らが中心となって設立した一般社団法人まちコンテンツ共創協会。さて、なぜ宮下銀座なのか。

 実は大通り協議会の運営メンバーの仲間たちの間では、以前から宮下銀座には注目していた。宮下銀座は、戦災で失われた東照宮の社殿が昭和37年に再建されたのに伴い、境内であった丘裾を拓き、その一部に整備された商店街である。駅近の飲み屋街として繁盛したが、市役所が去り、県庁が去ると一挙に衰退。それでもその後、若い人が経営するアパレル店や飲食店が入り始め、そのディープでレトロな感じを評価するお洒落なお店が増え、にぎわいを見せている。

 今改めて宮下銀座を見詰め直してみると、その魅力が浮かび上がってくる。

 一つは、歩行者に対する安全性。この通りには一般車両は入らない。そのため歩行者は通路いっぱいを歩いている。酔っていても安全な空間だ。

 二つは、道路とお店の一体感。アーケード街(とは言え、今では天窓ガラスは取り払われ、雨の日には雨が降る)なので、道路と沿道のお店が、いい感じでまとまっていて、居心地が良い。

 三つは、新しいチャレンジの受け入れやすさ。天窓がないことからもお分かりのように、いい加減古くて、その分賃料が安い。このことが新しいチャレンジを呼び込んでいる。

 若者ウケするお洒落なお店や水戸みやぎん寄席などの、新しいコンテンツがなぜ宮下銀座を選び、そこに集積してきたのか。それは、明らかに「居心地が良く歩きたくなる」空間がそこにあったからだ。

 私たち「水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会」では、水戸のまちなかの至る所で、このような新しいチャレンジや新しいコンテンツが呼び込めるような、そんな空間づくり、場づくりを進めたい。

▲ディープでレトロな宮下銀座


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