第46回 「古くて新しい官民連携」
水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会による社会実験を10月に終え、取得した各種データを基に実験の検証作業を進めているところではあるが、ここで改めて官民連携について考えてみたい。
昨年度の試行・実証実験でも、場の「使用許可」や「活用」の際の各種法規制や制度、許認可、手続きなどに関連して、行政との連携の大切さ、同時に難しさを痛感した。今年度は水戸市も事業費の一部を負担しているので、その影響はさらに大きくなった。
そもそも官民連携とは、古くて新しい概念である。「新しい公共」とか「共助社会」といった言葉もあるが、公的なこと、つまり皆のためになることは官民こぞって汗を流すのは、昔から当たり前のことだった。また、皆が少しずつ我慢することで皆が得をする仕組みこそが「公共」である。
そして、官民連携の基本は民主導だ。民がそれぞれの立場で主体性をもって始めるべきことである。まずは民が動き、後ろから官がついてくる(支援する)。民は公的な心を持ちながら、私的な特性、例えば経営的視点や専門性などを発揮して事業に取り組む。官はその民の事業や活動の成功のために、事業資金や制度、許認可などの面で協力を惜しまない。
その意識がなくなってしまったのは戦後のことであろうか。それが80年近く続き、民による身勝手な事業と、それを管理する官、といった構図が出来上がってしまっていて、官民の連携を難しくしている。
官民連携の最終目標は、互いに信頼関係を再構築し、明確なルールがなくても、自ずと公的な観点に立った結果を生み出せるようになることである。まだまだ道のりは長い。