代表コラム president column

第49回 「自分の道を見つける旅」

 令和6年に水戸で開催される全国商工会議所観光振興大会のテーマは「自分の道を見つける旅へ~刺激を求めての観光から、あなたの答えを見つける観光への転換~」。自分の道。それを自分で作るのは難しい。と言うよりも、無理だ。キャリアの80%は偶発的な出会いによって作られる、と言われている。だから、偶発性の連続が結果として人の道を作る。別の言い方をすると、それは天のシナリオで、「自分の道を見つける」とは、天が自分自身に与えてくれた道を見つけること。つまりは天命を知ることだ。さてそのためには、どうするか。

 そもそも偶発性にのみ頼っていたのでは、どうやって「自分の道を見つける」ことができよう。そこで、計画的偶発性理論を紹介する。「偶発的」と「計画的」は相矛盾する言葉ではあるが、あえて計画的に偶発的な出来事を呼び起こそう、という不思議な理論だ。

 そんなことができるのか?この理論の中では、偶発性を計画的に呼び起こす5つの行動特性が紹介されている。好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、そしてリスク・テイキング。私たちは日常的に経済人として会社を運営しているが、この5つを本業の中でやろうとすると、結構二の足を踏む。営利目的の本業は趣味ではないので、なかなか冒険できないからだ。

 でも、例えば非営利のボランティア的な活動ならどうか。ゲストとして参加するのではなく当事者として参加する場をいくつか持ち、掛け持ちで活動してみる。本業で培った専門性を出し惜しみなく生かしたボランティアなら、大いに社会の役にも立つ。しかも、本業ではないから好奇心で動くことができるし、リスクも取り易く、楽観的にもなれるので、思い切ったことができる。

 水戸を中心としたエリアでさまざまなまちづくり活動を実践していると、まさに、営利としての本業と非営利活動の両輪こそが、計画的偶発性を生む、と言うことが実感できる。観光振興大会で来水される方々に、水戸藩の歴史や、水戸や茨城の食文化、そして私たちの暮らしそのものを味わっていただく中で、本業以外で地域の活動を支える人々や組織、活動を紹介してはどうか。そして、私たち自身がそれぞれに、本業以外で地域のために貢献できることは何か。本業以外で自身の専門性を出し惜しみなく発揮し、地域の役に立つことは何か。それを考え、行動に移してみる。そうすれば、天は私たちに道を教えてくれるであろうし、来訪者へは自分の道を見つける旅への道標を示すことができよう。

 まさに、そんな観光振興大会を夢見ている。

 

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