代表コラム president column

第53回 「歩行者利便増進道路制度の実験」

 「道路空間を街の活性化に活用したい」、「歩道にカフェやベンチを置いてゆっくり滞在できる空間にしたい」。このような新しいニーズに応え、水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会が設立された令和2年5月に道路法が改正され、道路空間の多様な活用が可能となった。新たに「歩行者利便増進道路」(通称ほこみち)制度が創設され、道路管理者が歩道の中に〝歩行者の利便増進を図る空間(特例区域)〟を定めることで、道路空間を活用する際に必要となる道路占用許可が柔軟に認められることとなった。

 コロナもようやく5類に引き下げられた令和5年度の社会実験では、今まで実施してきた南町2丁目の裏通りを中心としたエリアに加え、大通りの歩道部分を活用した、ほこみち制度の適用実験を実施したい。

 大通りの歩道部分を何に使うか。現状の水戸のまちなかは、歩きたくなる「場」も「コンテンツ」も少ない。歩きたくなる理由がない。ほこみち制度を活用することで、コロナ特例で実施した沿道店舗のオープンテラスの常態化を目指したい。また、店舗を構えた本格的な営業ではなく、歩道での屋台、露天、キッチンカーなどによる仮設的な店づくりを促進し、場づくりやコンテンツ導入のハードルを下げてみる。水戸のまちなかに、多様な「挑戦」の場ができるはずだ。飲食店や物販店のテーブル・椅子の他に、歩行者の休憩スペース、イベントスペース(ステージ、芝生など)、駐輪場、バス停留所周辺スペースの拡張、なども考えられる。

 大通りのどの区間の、どの場所で実験ができるか、また実験すべきか。今まで社会実験を実施してきた南町を中心とした大通りの両側歩道部分に、銀杏坂まで含めるか。それとも新市民会館に関連して、泉町周辺を加えるか。そこまで手が回るか。

 実験期間をどうするか。これまでの社会実験は10月の3週間程度であったが、ほこみち制度の適用実験は、もっと長い方が良いかも知れない。

 道路管理者である国の常陸河川国道事務所との協議は始まっているが、実験内容や実験の実施区間、実施箇所、実施期間などについては、維持管理や運営などのことも考えると、商店街の方々や沿道立地企業の方々の協力次第で、大きく変わる。実験の企画運営を進める水戸まちなかデザイン会議に、商店街や立地企業の方々、また居住する方々の参加を促し、一緒に社会実験を組み立てたい。

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