代表コラム president column

第55回 「動き出したか?!水戸のまちなか」

 水戸商工会議所とまちみとラボでは、概ね年に2回、水戸まちなか空き店舗見学ツアーを実施している。会議所とまちみとラボに加え、香陵住販、建築士事務所協会、商業駐車場公社のスタッフにも協力いただき、バックアップ体制は万全だ。コロナでお休みした時期もあったが、7月28日に8回目のツアーを実施した。これまでのツアーで感じていることは、水戸のまちなかでは若手を中心とした出店意欲が旺盛である、ということ。それに加え、今年になってからの傾向として、そもそも紹介できる良い物件が少なく、ツアー当日までに出店者が決まってしまって紹介できないケースも出てきている。

 何が起こっているのか。まちなかを歩いてみて、感じ取れた兆しのようなものをまとめてみる。

 

ハイブリッド型店舗の出店

 ネット販売と実店舗での販売の相乗効果を狙ったお店が出てきた。観光の世界では既に当たり前になってはいるが、事前にネットで商品を仮想体験し、その印象で購入するも善し、実店舗まで出向き「やっぱりいいね」と追体験、確認・納得して購入するも善し。

 それから民泊(簡易宿所)。国内外の人が、日本中を旅して回るのが流行っている。車で、自転車で、公共交通機関と徒歩で。ネットのみで世界中から集客する。今日はこの町、明日はあの町。連泊も多く、宿泊にお金を掛けない。相部屋もOK。ホテルのように何でも揃っている必要はなく、飲食はまち歩きを兼ねて徒歩圏内にあれば十分。

 

暮らし支援型店舗の出店

 まずは飲食店。居酒屋が比較的好調で、カフェも増えている。変わり種として、メイドカフェも。また健康志向とコロナもあってか、需要が増えている個人向けのジムや医療・保険相談のお店も。ライフスタイルの変化に対応したものとして、コインランドリー。マンション住まいだと大きな洗濯物や乾燥が難しい。加えて、旅人からのニーズもある。近場で暮らしに潤いを与えるエンタメとして、宮下銀座には寄席も。

 

変わる業種業態

 まだまだ「兆し」だ。でもたぶん、昔懐かしい水戸のまちなかの復活はない。明らかに業態変化を起こしている。まちなかに住んでいる、働いている、通学している人たちが、水戸での日常を楽しむための装置として、まちなかがある。それを旅人たちも楽しむ。その日その日の暮らしのためにも、観光的にも、さらにはビジネスの場としても。

 

 新しい日常、新しい観光、新しい飲食、新しい健康医療、新しいエンタメ。そしてそれを支えるデジタル技術。コロナも空け、市民会館もオープンし、勢いの出てきた今こそ、新しいライフスタイル、新しい価値観、新しい技術に対応し、楽しめるまちなかづくりを!

 

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