代表コラム president column

第58回 「民主導のまちづくりの問題点」

 大通り協議会での取り組みは、官民が連携しつつも民主導だ。これまで、全国の都市から視察やヒアリング、相談などがあったが、いずれも行政が主導する取り組みで、そこにいかにして民間人材や民間組織を巻き込むか、が大きな課題であるようだ。一方、水戸では民主導であるが故の問題点、課題も多い。

 

・不安定な財源

 安定財源がない。寄付金も集まりにくい土壌である。「貪欲に補助金を獲得して事をなす」と割り切り、時宜適切な財源を獲りに行く必要がある。一方で、地域の再生に向けた取り組みを地域全体で支援する仕組みとして、地域の旦那衆がスポンサーとなってのまちづくり基金のようなものの創設も模索したい。

 

・責任が曖昧で持続性の低い組織

 位置づけが曖昧で中途半端(共感こそが命)。これが協議会活動の特色で、若手がチャレンジしやすく、比較的自由に動けるが、その反面、責任が曖昧で、地元の当事者が少ない。ボランティア頼みで常駐スタッフも不在の、持続性の低い組織である。価値観の共有で、地域社会や仲間たちとの信頼関係を醸成し、互いに納得できる成果に繋げたい。

 

・専門家の参加姿勢

 新しい公共などの考え方の浸透で、公的なことは官民一緒に取り組もう、といった気運が醸成されつつある。その中で、ボランティア中心の組織での専門家の関わり方は、プロボノが基本、私的利益誘導を排除する必要がある。協議会では「成果は皆のもの」との約束ごとを決めたが、それでも権利を主張するスタッフが出現。価値観の共有が大切である。

 

・デザインのプロセスと役割の変化

 当初はデザイン主導で手っ取り早く成果を得た。しかしデザインの共有ができず、権利関係でのトラブルも発生。そこでデザイン会議のメンバーと一緒に手作りで実験を組み立てる方式に変更。さらにこれからは、当事者らとの関係づくりを進め、地元のデザイン関係者とともに話し合いながら進めることで、「会話から生まれる新たなまちのデザイン」を実現したい。

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