第67回 「ローカルファーストによるまちづくり」
お盆明けに、水戸ファースト消費創造委員会と卸商業部会、小売商業部会合同の講演会があった。講師は平成26年にローカルファースト財団を設立、理事長に就任した茅ケ崎商工会議所の亀井信幸会頭で、演題は「ローカルファーストによるまちづくり~地域経済の好循環の創出と持続可能なまちづくり~」。
ローカルファーストとは、最初こそ不便でも、地域資本の店で買い物をして地域のレストランで食事をし、自分たちの手で「まち」を美しく保つという価値観。すなわち「自分たちの街に愛情と誇りを持った選択と行動をする」こと。欧州では常識だ。このような価値観を持っていると、街の未来を考える時、地域をよりよく理解することができて、街の人、物、場所、文化などに愛情を持つことができ、人々のニーズに寄り添い続けることもできる。そして、皆が真に豊かに暮らしている情景をきちんと想像できるようになる、とのこと。
亀井会頭は「ローカルファーストが日本を変える」との信念のもと、活動を続けている。自分自身に問い掛けてみる。「パンはどこで買いますか?」、「駅までどうやって行きますか?」。地域の経済を維持・拡大していくためには「地域内経済循環」が重要で、「何を選択するべきかを一人ひとりがきちんと考えること」が大切になる。
東日本大震災を経験した私たちは、地域内経済循環の重要性について十分学んだはずだ。いざと言う時に遠隔地からの物資輸送はあてにならない。緊急時ではなくても、大幅なキャッシュアウト(地域のお金が外に流れ出てしまうこと)が常態化している地域では、持続可能性は低く、街に未来はない。持続可能で豊かな暮らしは、「ローカルファースト」な価値観を持った市民によって達成されていく。
「ローカルファースト」な価値観が、ファッショナブルなものとして「それって、格好いいね!」と評価されるようになったら。そして、私たち一人ひとりのライフスタイルの変革につながれば、水戸の街での暮らしと経済はずっと豊かになるし、若者も戻ってくる。私たち自身の変革で、人、物、金、すべてが豊かに循環する水戸の街を手に入れることができるはずだ。