代表コラム president column

第73回 「令和6年度事業の取りまとめ」

 一年前にお伝えした通り、水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会の令和6年度事業は、試行・実証実験(水戸まちなかリビング作戦)を進めながら、さまざまな施設や地域との連携のあり方についての「連携ビジョン」素案を策定することだ。「連携促進のために、まちなかにできることは何か」。

デザイン会議と実験
 まずは水戸まちなかデザイン会議を10回開催した。そして水戸まちなかりビング作戦2024ではパークレットの長期設置、茨城ロボッツと連携した飲食店サービス企画(協力10店舗)、バスケファン向けまち歩き企画、デジタルマップの配信、大通りへのフラッグ掲示、水戸駅北口ペデストリアンデッキに懸垂幕やのぼり設置、デジタルサイネージでの情報発信、公共駐輪場の設置、大通り沿い空き地のドッグラン化、大通り沿いの南町自由広場の滞在性向上、そしてまちなかチャレンジを実施した。プロモーション活動としては、SNSでの継続的な情報発信を実施した。

周辺との連携の実態
 これらの活動を通して実感することは、まちなかが周辺施設などのインパクトを生かしていないことだ。水戸市民会館や芸術館、京成百貨店でどんなイベントが開催されるのか。そのイベントにどんな人が来訪するのか。茨城ロボッツの試合があるのはいつか。対戦相手はどこか。ロボッツやホーリーホックの試合結果はどうなっているのか。そもそも、ポスターは貼ってあるのか。まちなかにはこれらを伝える情報がほとんどないし、後押ししている雰囲気もない。まちなかを歩いていて、市民会館や芸術館、京成百貨店、水戸城跡が近くにあることを感じない。JリーグやBリーグの街であることを感じない。
 結果として、市民会館などへの来訪者やスポーツ観戦者は商店街を素通り(回遊しない)。通勤通学者や増加しつつあるマンション住人は商店街で買い物をしない。
 商店街サイドからの積極的なアプローチが必要だ。

連携ビジョンの方向性
 デザイン会議と水戸まちなかリビング作戦を踏まえ、連携ビジョンづくりを進めている。商店街、立地企業・学校、マンション・住人、周辺エンタメ施設、外来者、まちづくりの担い手など、まちなかとして連携すべき相手はたくさんある。
 それらに対し、まちなかが関心を寄せない現状から脱却する必要がある。連携することによって得られるメリットを明確化し、その延長線上にあるまちなかの「未来ビジョン」を皆で共有したい。それぞれの立場からできることを具体的なアクションとして起こし、それが相乗効果、相互にメリットを生むような、プラスの循環を手に入れたい。

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